生前贈与・遺言書作成

生前贈与とは

生前贈与とは

生前贈与とは、人が亡くなる前に、自分の財産を他人に無償で譲渡することをいい、民法上は単に贈与といいます。

メリット、デメリット

人が亡くなる前に、法定相続人となる予定の者に生前贈与をすることには、メリットとデメリットがあります。

  • メリット:自分が生きている間に、自分の思うように財産を他人に譲れることです。
  • デメリット:金額によっては相続税よりも高額な贈与税を課される可能性があることです。

生前贈与の注意事項

生前贈与をすると、自分が生きている間に、自分の思うように遺産を子孫に譲ることができます。
生前贈与を受けた相続人は、相続開始後、特別受益(遺産の前渡し)と認められて、遺産分割の際に相続できる額が少なくなることはありますので、生前贈与をするのであれば、特別受益については遺産に持ち戻さなくても良いという遺言を残しておく場合があります。
なお、生前贈与を受けた相続人は、特別受益の金額が大きくとも、遺産分割の際に相続できる額が小さくなるだけで、贈与された財産を返還する必要はありません。

生前贈与、遺言作成のよくある相談

ご相談内容
中小企業の社長をしております。私の死後のことを考えて、後継者である長男に全財産を長男に渡すという遺言を残そうと思います。ですが、長女と次男が遺留分として会社に対する貸付金等につき減殺請求をする可能性があると聞きました。どうすればいいでしょう。
アドバイス
会社とは関係ない一定の財産を長女と次男に相続させ、残りは長男に相続させるという遺言を残しておきましょう。
ご相談内容
前妻にひとり子どもが、現在の妻との間にひとり子どもがいます。自分が亡くなったあと、相続でもめないか心配です。
アドバイス
現在の奥さまとの子どもさんには預貯金と住んでいる家を遺し、前妻の子どもさんにはその他の不動産を遺すといった、ご自分が望まれるような遺言をつくっておくといいでしょう。
ご相談内容
私には3人の子どもがいます。お恥ずかしい話、次男が度重なって暴力をふるうため、相続人から廃除したいと考えています。
アドバイス
相続人を廃除するには、遺言を残すだけでなく、家庭裁判所で審判を受ける必要があります。客観的な証拠を提出する必要があり、弁護士が必要な案件になります。ただ一時の感情ではなく、冷静によく考えてから行動するようにしましょう。
ご相談内容
軽度のアルツハイマー認知症と診断されました。息子と相談したところ、公証証書遺言書を遺すことになりました。アルツハイマーと診断されても作成できますか?
アドバイス
公証人と面談して遺言能力があると判断されれば、問題なく公正証書遺言を作成できます。
公証人が躊躇するようであれば、自筆証書遺言や死因贈与の契約書を作る方法があります。
遺言能力があるかないかの判断基準に、「長谷川式簡易知能評価スケール」というものが使われることが多いです。こういうケースで依頼があった場合、弁護士と遺言者とのやり取りを動画に残して、後日遺言の有効性が争われる場合に備えることがあります。

遺産分割と納税及び不動産名義の変更

遺産分割と納税及び不動産名義の変更

相続税の申告は、相続発生の翌日から10カ月以内になっています。相続人と相続財産の確定や配分の話し合いをする遺産分割協議は想像以上に時間がかかるので、とにかく早めに動いたほうがよいでしょう。
不動産名義の変更は、遺産分割後に行います。

相続財産

プラスの財産

  • 預貯金
  • 不動産(土地、建物、農地、山林)
  • 有価証券
  • 動産(自動車、貴金属、家財道具、骨董品など)
  • 香典

マイナスの財産

  • 住宅ローン
  • 借金
  • 介護費用の未払い
  • 病院代
  • 葬儀費用

遺言書をすすめるケース

  • 遺産があり、亡くなったあと相続人がもめそうなケース
  • 被相続人が大きな手術を控えている場合
  • 相続人以外の方に財産を残したいケース
  • 相続人がいない場合
  • 財産を相続させたくない親族がいる場合
  • 再婚した、または内縁の妻や夫がいる場合
  • 行方不明の相続人がいるケース

遺言書の種類

自筆証書遺言

自筆証書遺言

すべて自筆で書くタイプです。日付、署名、印鑑が必ず必要となります。
ただ、法律が改正され、目録のみ、パソコンのワープロソフトで作成しても大丈夫になりました。自筆証書は専門家のチェックが入らないため、内容も自分本位になりがちで、注意しないと無効になってしまうこともあります。

  • メリット:費用がかからず、簡単につくれる。
  • デメリット:遺言書の紛失や第三者の隠ぺいなど保管面が大変。
  • 証人:不要
  • 裁判所の検認:必要

公正証書遺言

法的な条件をきちんと備え、なおかつ第三者が立ち会って作成。作成した遺言書の原本は公正役場で保管します。

  • メリット:法律の専門家が作成するので、遺言が無効になる可能性が低い。
  • デメリット:費用がかかる。
  • 証人:2人必要(未成年や利害関係がある人は不可)
  • 裁判所の検認:不要

秘密証書遺言

内容を本人がなくなるまで秘密にできます。

  • メリット:遺言が発見されないという恐れがなく、遺言の内容を秘密にしておくことができる。
  • デメリット:記載に不備があると無効になる。
  • 証人:2人必要(未成年や利害関係がある人は不可)
  • 裁判所の検認:必要

遺言書の注意事項

まず遺言書の確認
相続が発生した場合、まずは遺言書があるかどうかを確認します。公正遺言証書であれば公証役場の遺言検索システムで全国の遺言を調べることができます。
法改正により、自筆証書遺言も法務局で保管が可能になりました。自筆証書遺言の有無は法務局で確認を行いましょう。

勝手に開封してはNG
勝手に開封すると、後々加筆や改ざんを疑われ、トラブルのもとになります。公正証書遺言以外は、家庭裁判所で検認手続きを受ける必要があります。その後、遺言の記載または家庭裁判所の選任により、遺言執行者が遺言を執行する手続きを行う場合もあります。 遺言執行人の一番の役目は、遺言書に書かれたとおりに手続きを進めていくことです。遺言執行人は、遺言で指名されていれば誰でもなれます。遺言をめぐって紛争が起きそうな場合は、遺言を作成する段階であれば弁護士を遺言執行者として指名し、相続開始後であれば遺言執行者選任の申立を検討すべきです。

遺言書作成の流れ

  • 遺言書を作成する際には、まず、遺言がない場合にどのような相続がされるかを検討します。
    戸籍を取得して、法定相続人を確定します。

  • その次に、役所で名寄帳を取得し、通帳を確認し、証券会社に照会するなどして自分の資産の総額を確認します。

  • これを踏まえて、自分が亡くなった時に、誰にどれだけの遺産を譲渡するかを決めます。
    公正証書遺言を作成する場合、これを公証人に伝えて公正証書遺言を作成してもらいます。

生前贈与の注意事項

生前贈与を受けた方は、遺産の前渡しを受けていた(特別受益)とみなされます。この生前贈与を相続財産として算定することを「持戻し」といいます。ただし、被相続人が持戻しをしなくてもよいという意思表示をしていた場合(持戻し免除の意思表示)生前贈与がなかったものと同様に扱われます。

田奧弁護士のメッセージ

田奧弁護士

自筆証書遺言の場合、全文が自筆であることが条件となります。印鑑、日付、名前も忘れないようにしましょう。
確実な形で遺言を残す場合は、公正証書遺言がおすすめです。自分で公証人のところに行くのもいいですが、相続人全員の戸籍を取るなど、手間もかかります。弁護士に依頼することで、手続きのすべてをまかせることができ、負担が軽減できます。

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呉市にあるたおく法律事務所まで。
まずはお気軽にお問い合わせください。

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