妻や夫に家を残したい~持戻し免除の意思推定
こんにちは,呉市で相続に関する法律紛争の解決に取り組んでいる,弁護士の田奧です。
今日は,配偶者に自宅を贈与した際の持ち戻しの免除についてお話しします。
被相続人が,配偶者に対して,自宅の土地建物を生前贈与していたり遺贈した場合,遺産分割の際には,原則として特別受益として扱われ,配偶者が取得できる預貯金等の遺産の額が少なくなる状況が多々ありました。
被相続人としては,自分の死後,長年連れ添った配偶者の生活を心配して自宅を残したというケースが多いと思います。それなのに,配偶者の取得する預貯金等の遺産を少なくするのは,被相続人の意思に合ってないように思われます。
そこで,改正民法では,婚姻期間が20年以上の夫婦の一方が,他の一方に対して居住用不動産の贈与等をした場合については,持戻し免除の意思表示があったものと推定する,という規定が設けられました。
これによって,被相続人が遺言等で特段の意思を示さない限り,配偶者が居住用不動産を取得したことを,その他の遺産の分割の際に考慮しなくてもいいことになりました。
この規定は,令和元年7月1日以降に行われた遺贈,贈与について適用されます。